2023年度 前期末卒業証書・学位記授与式式辞
本日、ここに集われた広島工業大学を卒業される皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんのこれまでの努力が実を結び、本日の卒業証書・学位記 授与式を迎えられたことを本当に嬉しく思います。本学教職員を代表し、心よりお喜びを申し上げます。
保護者の皆様、本日は令和5年度 前期末 卒業証書・学位記 授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。ご子女のご卒業を心よりお喜び申し上げますとともに、これまで、本学の教育・研究に深いご理解とご支援を賜りましたことに、感謝を申し上げます。
さて、皆さんも感じられているように、私たちを取り巻く環境は激変しています。2020年初頭から世界規模で感染が拡大した新型コロナウイルス感染症も、今年5月に感染症法上の位置付けが5類に移行し、徐々にではありますが、新型コロナ禍前の生活に戻りつつあります。皆さんの学生生活は、ちょうどこの新型コロナウイルスの影響を大きく受け、制約も多いものだったと思いますが、そのような状況でも、一人ひとりが工夫しながら学びを深め、経験を積み、本日を迎えることができたことは、皆さんにとって、大きな自信になることと思います。これからも、学生時代の経験を忘れずに、頑張ってほしいと思います。
国際社会に目を移してみますと、世界中が平和で安全、安心な社会をめざしている一方、ロシアによるウクライナへの侵攻の長期化、北朝鮮によるミサイルの度重なる発射など、混沌とした状態が続いています。また、異常気象による大規模自然災害が頻発するなど、すぐ先の未来を予測することも難しくなっています。まさに、変化が激しく未来の予測が困難であるVUCAの時代に突入したと言えるでしょう。
このVUCAの時代では、過去から学ぶことも必要ではありますが、これまでに経験してこなかった課題に対する解決策を導き出すために、その課題をあらゆる角度から観察、考察し、その本質を捉えることが大切です。そして、その課題の解決に向けて、仲間と共に、多くの知識を結集し、自ら考えることが求められます。
これからの社会を力強く生き抜き、皆さん自身の手で未来を創り出すためには、ある一つの専門分野の深い知識だけでなく、専門外の知識や、生きるための力を身に付けるための手法であるリベラルアーツを学ぶなどして、幅広い知識を持つことが重要です。そのためには、社会に出てからも、多くのことに興味を持ち、学び続けることを忘れてはいけません。一見関係なさそうな知識は、すぐに活用する場面はやってこないかもしれませんが、必ず、役に立つ時が訪れます。多くを学び、自ら考える基盤を作ってください。
大学では、教育理念である建学の精神『教育は愛なり』、教育方針『常に神と共に歩み社会に奉仕する』の下、皆さんに、倫理観ある技術系人材として社会で活躍することができる力を身に付けてもらおうと、さまざまな取り組みを行ってきました。それぞれの学科で学ぶ専門的な知識や技術である「専門力」のみならず、社会で他者と共に働くために必要な基礎的な力である「人間力」にも着目し、その養成に力を入れてきました。特に、「人間力」を身に付けるためには、大学内外を問わず、多くの人たちと交流し、また、多くの経験をすること、そして、失敗を恐れず挑戦することが必要と考え、その支援を行ってきました。
大学時代に得た「専門力」と「人間力」を基礎に、これからも多くを経験し、学び続けることで、次の世代を担う、未来を創造する技術系人材になることを期待します。
これから社会に出る皆さんには、学び続けることの他にもう一つ、人とのつながりも大切にしてほしいです。これまで大学で同じ時を過ごした友達は一生の友となるでしょう。また、私たち、広島工業大学の教職員とのつながりもあります。さらに、これからは、皆さんも、約52,000名を超える本学の同窓生の仲間入りをします。これらのつながりは、どんな時も皆さんの力になってくれることでしょう。
最後に、これから、皆さんの進む道はそれぞれ異なりますが、学び続けることと人とのつながりを大切にしながら、本学での経験を十分に活かし、また、広島工業大学で学んだことに自信と誇りをもって、地域、日本、さらには、世界で活躍されることを期待して、卒業に際しての私の挨拶といたします。
令和5年9月15日
広島工業大学 学長 長坂 康史