広島工業大学

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2024年度 前期末卒業証書・学位記授与式 式辞

本日、ここに集われた広島工業大学を卒業される皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんのこれまでの努力が実を結び、本日の卒業証書・学位記 授与式を迎えられたことを本当に嬉しく思います。本学教職員を代表し、心よりお喜びを申し上げます。

保護者の皆様、本日は令和6年度 前期末 卒業証書・学位記 授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。ご子女のご卒業を心よりお喜び申し上げますとともに、これまで、本学の教育・研究にご理解とご支援を賜りましたことに、感謝を申し上げます。

2020年初頭から世界規模で感染が拡大した新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活に大きな影響を与えました。人との接触をできるだけ避けるなど多くの制約があるなかで、新しい日常を創り上げるため、皆で努力したことを思い出します。大学においても、オンライン授業が始まり、クラブ・サークル活動も思うようにできず、想像していた大学生活とは大きく異なるものだったと思います。しかし、そのような状況でも、皆さんは学びを深め、多くの経験を積み、本日を迎えることができたことは、大きな自信になっているはずです。これからも、学生時代のこれらの経験を忘れずに、頑張ってください。

さて、今年は「平和の祭典」であるオリンピック・パラリンピック パリ大会が開催されました。多くの人が、選手の姿に感動し、勇気と希望をもらったのではないかと思います。選手一人ひとりの並々ならぬ努力が、それぞれの結果を生み出していると思うと、私たちも世界は違いますが、自らの目的をしっかりと持ち、一日一日を大切にし、全力で取り組まなければならないと決意した人も多かったのではないでしょうか。

しかし、このように世界中が平和を希求し、安全、安心な社会を目指している、オリンピック・パラリンピックの開催期間中にあっても、ロシアとウクライナ、また、パレスチナとイスラエルでは、自分たちの正当性を主張するばかりで、相手のことを無視した軍事衝突が続いています。なぜこのようなことが続くのか。とても悲しいことです。一日も早く、世界中の人々が安心して暮らせる平和な世界になることを願ってやみません。

また、地球温暖化によると考えられる異常気象やそれに端を発する大規模自然災害の発生など、すぐ先の未来を予測することも難しくなっています。まさに、変化が激しく予測が困難であるVUCAの時代に突入したと言えるでしょう。

このVUCAの時代では、過去から学ぶことも必要ではありますが、これまでに経験してこなかった課題に対する解決策を導き出すために、その課題をあらゆる角度から観察、考察し、その本質を捉えることが大切です。そして、その課題の解決に向けて、多くの知識を結集し、仲間と共に考え、自らの手で明るい未来を創り出すことが求められます。

そのためには、ある一つの専門分野の深い知識だけでなく、専門外の知識や、生きるための力を身に付けるための手法であるリベラルアーツを学ぶなどして、幅広い知識を持つことが重要です。社会人として働き始めてからも、多くのことに興味を持ち、学び続けることを忘れてはいけません。一見関係なさそうな知識は、すぐに活用する場面はやってこないかもしれませんが、必ず、役に立つ時が訪れます。多くを学び、自ら考える基盤を作ってください。

大学では、教育理念である建学の精神『教育は愛なり』、教育方針『常に神と共に歩み社会に奉仕する』の下、皆さんに、倫理観ある技術系人材として社会で活躍することができる力を身に付けてもらおうと、さまざまな取り組みを行ってきました。また、大学の存在意義を示すパーパスは「未来の、その先をつくる。」です。皆さんもこのパーパスの意味を理解し、この広島工業大学で学生時代を過ごしたことを胸に、近い将来だけでなく、はるか先の未来を意識してほしいです。そして、大学時代に身につけた「専門力」「人間力」「社会実践力」を基盤に、これからも多くを経験するとともに、失敗を恐れず挑戦し、学び続けることで、皆さん一人ひとりが、次の世代を担う、未来を創造する技術系人材になることを期待します。

これから社会に出る皆さんには、人との絆も大切にしてほしいです。これまで大学で同じ時を過ごした友達は一生の友となるでしょう。また、私たち、広島工業大学の教職員とのつながりもあります。さらに、これからは、皆さんも、約5万名を超える本学の同窓生の仲間入りをします。これらのつながりは、どんな時も皆さんの力になってくれることでしょう。

最後に、これから、皆さんの進む道はそれぞれ異なりますが、学び続けることと人との絆を大切にしながら、本学での経験を十分に活かし、また、広島工業大学で学んだことに自信と誇りをもって、地域、日本、さらには、世界で活躍されることを期待して、卒業に際しての私の挨拶といたします。

令和6年9月13日
広島工業大学 学長  長坂 康史