広島工業大学

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広島工業大学

情報マネジメント学科

神垣 太持

教員紹介

神垣 太持KAMIGAKI Tamotsu

情報学部 情報マネジメント学科 准教授

研究紹介

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○システムデザイン
○経営工学
○情報デザイン
【担当科目】
ビジネスデータサイエンス
【研究テーマ】
1.ICT(情報通信技術)支援による生産システムのシステムデザインに関する研究
2.AI などの知的なコンピュータ支援によって人の生産活動を支える研究
3.Society 5.0 を見据えてAI、RFID やIoT(モノのインターネット)といった技術を応用した研究
4.音声認識や身ぶりインタフェースコントローラの製作に関する研究
5.マイコンを使用した制御の教材研究
【ひとこと】

人間と機械との関係をデザインし、理論に基づいた「動いてナンボ」の「使える」ものづくりを目指すことで社会貢献しよう!
ここで言う「使える」は、「usable」の「とりあえず使える」ではなく「useful」の方である。
理論だけではダメで実践が伴って動くものになって初めて研究は成就する=「動いてナンボ」
研究に最も大切なことは、その過程を「楽しむ」ことである。
三大師匠(エジソン、チャップリン、ジョンレノン(ビートルズ))

研究紹介

神垣 太持KAMIGAKI Tamotsu

情報学部 情報マネジメント学科 准教授

工場の生産改善からスマート農業、笑顔メーターまで。
システムデザインでIoTに貢献
PROLOGUE

IoTが本格化しています。今までは情報機器だけがネットワークとつながっていましたが、これからはあらゆるモノがネットワークとつながって情報をやり取りすることで、産業も生活もさらに便利になる、というのです。例えば工場では生産設備がネットワークとつながり、「調子が悪い、故障しそうだ」ということを教えてくれるので、生産効率が上がるのだとか。「そういう世の中を実現するためには、状況に合ったシステムデザインが大事になります」と神垣先生は語ります。

中小企業でも導入可能なIoTの形とは?

IoTの流れを受け、大手の工場ではRFIDなどを使って生産状況や在庫をリアルタイムで管理する、といったことが行われるようになってきました。一方、地場の中小企業で、IoTに対応している所はそれほど多くありません。導入したくても、工場内でどんなデータを取得すべきか、取得したデータをどう活かせばよいのか、具体的なメリットが見えず、なかなか前向きになれないのです。
しかし本来は、コスト競争の厳しい中小の工場ほど、IoTを積極的に活用すべきです。データを基に生産ラインを改善していけば効率性向上が期待でき、不良品率も下げられるので、収益UPが見込めます。そこで私は、中小企業でも導入可能なシステムデザインについて研究しています。
例えば、温湿度や音・磁気を計測できる簡易センサがあります。1つ3000円程度なので、複数用意してもそれほど高額にはなりません。このセンサを使って、工場内の問題のありそうな箇所の状況を計測するのです。工場内では、特定の時間だけ不良品率が上がるというケースがあります。調べると、その時間だけ機械に陽があたり、高温になって動作に不具合を起こしていたりします。簡易センサでも、特定の時間・場所に絞って計測すれば、原因解明に十分役立ちます。状況に応じたシステムデザインがあれば、中小企業のIoT化は可能なのです。

温湿度や音・磁気を計測できる簡易センサ。
これを複数台使用すれば、
工場内の不具合の原因を
特定することは十分可能です

システムデザインが必要な分野はたくさんある

システムデザインが必要なのは、工場ばかりではありません。ゼミでは、いろんな分野のシステム構築に取り組んでいます。
例えば「笑顔メーター」というものを学生と一緒に作りました。原理は簡単で、AIによって人の表情を解析させ、笑顔だったらメーターが上がり、笑顔が少ないとメーターが下がり警告を出す、というもの。小売店や飲食店などで、スタッフが店に出る前に使うといいかもしれません。
スマート農業に取り組む学生もいます。YOLO V5という物体の位置と種類を検出する機械学習アルゴリズムを使って、農地の害獣となる熊、猿、イノシシの3種の姿を憶えさせます。そのシステムを組み込んだ小型コンピュータとカメラを組み合わせて農地に設置。害獣が近づいたら警告音を発して追い払うのです。第一歩として、実際に熊や猿が検出できるかやってみたのですが、100枚程度の画像を機械学習させ、38%の確率で検知できました。画像の量を増やせば、検知率は向上しそうです。
機械学習は高性能コンピュータで実施し、実際の害獣監視には実行用モジュールだけで行うエッジAIというやり方なので、コストは1台1万5000円程度ですみます。コストまで含め、どういう仕組みなら実現可能か考えるのが、システムデザインを行う私たちの役目です。

ゼミ室に設置された笑顔メーター。
来客の表情を測定します

システムを考えるだけでなく、実際に動くかどうかまでを検証

私たちはシステムを考えるだけで終わらせるのではなく、モノが動くまでを検証しています。少し前ですが、音で開閉するゴミ箱を、実際の素材の代わりにレゴブロックを使って作ってみました。ラ・シの音で蓋が開き、ラ・ソで閉まります。AIスピーカーなどもありますが、ここで挑戦したのは「どこまで低価格でできるか」。すると、このシステムは100円のコンピュータで実現できました。同じく、レゴブロックでUFOキャッチャーも作ってみました。クレーンを音声認識で操作するのです。認識率は少し甘いけど、きちんと動くものが作れました。
どのシステムと向き合う場合でも、基本は同じ。状況を把握し、問題解決のための実現可能なシステムをどう組むか、です。そこに重点を置き、学生たちとともにいろんなテーマに取り組みたいと思います。お金をかけられない分、知恵を発揮して。そういうシステムによって、地場企業や地域の問題解決に貢献できればいいですね。より良いシステムデザインの構築が、DX推進によって事業の発展や日常の利便性の向上を実現する原動力になるでしょう。

音階を感知してフタを開閉するゴミ箱を
レゴブロックで作ったもの。
100円のコンピュータでも、
ここまでできます
音声を検知してクレーンを
動かすUFOキャッチャー。
これも稼動部はレゴで製作しています