松本 望未さん
生命学部 食品生命科学科
2017年卒業
池田糖化工業株式会社 第一開発室
広島県福山市箕沖町95-7
食品開発には、味、匂い、色、機能性など、食品にさまざまな魅力を与える“原料素材”の存在が欠かせません。私が勤めている池田糖化工業は、そうした“原料素材”を開発・製造する、いわば「食品開発を支える開発」を事業にしています。
その中でも、私が所属しているのは、食品に「色」を加える素材を開発する部署です。食品に「色」を加えることは簡単ではありません。飲み物などに使う水溶性の素材は、チョコレートなどの油脂の多い食材とは分離してしまいますし、酸性・アルカリ性によって発色が変わったり、製造過程で熱を加える時には、熱に強いものを選ばなければ色があせてしまいます。あらゆる商品に対して、イメージ通りの色付けを可能にするために、さまざまな「色素材」のラインナップを揃えるとともに、企業様からのオーダーに対して、必要な条件下で求める色が出せるよう、素材の調整をする。そうした研究開発にチームで取り組む中で、少しずつ経験を重ねています。
私が食品にかかわる仕事をしたい、と思うようになったのは、中学生の頃でした。友人に手作りのお菓子を食べてもらった時、「とっても美味しいよ」と笑顔で喜んでくれたのが、本当に嬉しくて、食を通して誰かを幸せにする仕事がしたい、と考えるようになりました。
大学を選ぶ時も、食にかかわる学びができるところを、と決めていました。調理や管理栄養を学ぶことも検討したのですが、多くの人に「食べる幸せ」を届けるためにはどうしたらいいだろう、と考え、全国の家庭へ食事を届けられる“食品製造”について学ぶため、広島工業大学への進学を決意しました。
大学では、製造に使う機械や製造過程、衛生面などの食品製造分野、醸造・発酵といった応用生物分野など、食品について幅広く学ぶことができました。食に対する広い視野や、研究のための基本的な考え方は、今の仕事を進める上で心強い支えになっています。サークルで英語のスピーチ大会に挑戦したこと、ゼミで仲間とともに研究に打ち込んだことも、人との会話に強い苦手意識を持っていた私にとって、大きな財産になりました。
食を通して誰かを幸せにするために、私には何ができるだろう。大学を選ぶ時も、就職活動中も、入社して現在の部署に配属された時にも、いつも私の中には、この問いがありました。
「美味しさ」とは何かを考えた時、まずは「味」のことを思い浮かべる人が多いかと思いますが、味だけが美味しさを決めている訳ではありません。漂ってくる香り、色や形、温度、口に入れた時の味わい。そうしたもの全てが重なって、「美味しい」という幸せが作られているのだと、私は考えています。そうした食品の持つ多様な魅力や、さまざまな食品に対する知識、食品製造の過程や手法など、幅広い知識を身につけながら、食品全体を見据えた「色づくり」を提案できる力を身につけていきたいですね。
池田糖化工業株式会社
[本社]
〒720-8638
広島県福山市桜馬場町2-28
TEL:084-957-3445(人事部)
明治37年創業。「食」の中間原料品メーカーとして、新しい加工用原料や食品素材を開発研究し、食品メーカーの新製品開発とその素材調達を積極的にサポートしている。
大学1年生・入学
家族が大好きだった私は、初めての一人暮らしに不安でいっぱいでした。引越しを手伝ってくれていた母が、帰ってしまう時に号泣したことは、今でも忘れられません。
大学2年生
大学祭で行われた英語のスピーチ大会で、第3位を獲得。口下手で、コミュニケーションが苦手だったのですが、少しだけ自信をつけることができました。
大学3年生
就職活動に向けた試験対策や講座で自信をつけるとともに、自己分析に苦戦しており、浮き沈みの激しい時期でした。年末には、サークル活動で、学外の英語スピーチ大会に出場しました。
大学4年生
池田糖化工業から内定をいただき、学びに対する意欲がさらに高まりました。年明けまで続けた卒業研究は、途中さまざまな苦労もありましたが、自分なりの成果を残すことができました。
就職
入社直後は、慣れない人間関係と必要とされる知識量に圧倒される日々でした。失敗を重ねながらも、少しずつ成長を感じています。苦労をともにした同期とは、今もいい関係が続いています。
自分って理系だなと思う瞬間を教えてください。
厳密でなくてもいい場面なのに、ちょっとした数値の違いが許せないことがあります。例えば、料理をしている時に、小麦粉などの重さが1gでもずれると気になったり、小さじ1杯をきっちり擦り切りで測ったり…。
広島工大って独特だなと思うことはありますか?
女子学生に特化したサポートセンターがあるのはかなり独特だと思います。就職活動中はスーツ着こなし講座やメイクアップ講座に、かなり助けられました。
ゼミの思い出を教えてください。
たまに開催されていたゼミの親睦会で、普段なかなか相談できないことも気軽に話せたのがありがたかったです。教授のお酒のセレクトが可愛らしかったことも記憶に残っています。